自分で作る定款の作り方

株式会社にしろ、合同会社にしろ、会社設立の際には、定款が必要になります。

定款というのは、その会社の基本的な決まりを記載した書類で、「会社の憲法」とも言われます。

定款にはどんな作り方があるか

定款には2種類の作り方があって、1つは電子定款。
そして、もう1つが紙定款です。

電子定款は、Wordなどで文書を作成し、PDFに変換したものに、作成者が電子署名を行って、改ざんが出来ないようにしたものです。

電子定款の作成のためには、電子署名を行うための機材や電子証明書が必要になるので、個人というよりも行政書士のような定款作成を業務として行っている人が作ることが多いです。

それに対して、紙定款の場合は特別な機材などが必要ないので、誰でも作成できますし、電子署名が可能になる前は、すべて紙書面で定款を作成していました。
今でも、電子署名の設備を持っていない行政書士などや個人の場合には、紙定款で作成することになります。

そこで、今回は、個人が行政書士などの専門家に依頼しないで、自分で定款を作るための紙定款の作り方について、解説したいと思います。

定款の文章をどうやって作るか

電子定款にしろ、紙定款にしろ、定款の文章はWordなどのワープロソフトで作成します。
一般的なのは、マイクロソフトのWordですね。
大学で使ったとか、業務で使用したという人も多いかと思います。

もちろん、Wordでなければならないわけではありません。
紙定款の場合は、印刷できればOKですので、キレイにレイアウトできれば、Wordだろうがメモ帳だろうが何でも構わないです。
ただし、電子定款の場合はPDFにしなければならないので、Wordで作成するのが一般的です。

定款の内容については、自分で定款を作るのであれば、書籍やネットのサンプルを利用して自分の会社用に手直しして作成します。
フリーの定款作成サービスもありますので、そうしたサービスで内容を作るところまで利用して、作成することもできます。

サンプルを流用する場合やフリーのサービスを使う場合は、出来上がった定款の内容を再確認してください。
一般的な内容で用意されているので、あなたが設立したい会社にはマッチしなかったり、矛盾する内容が入っていることもあります。

行政書士などの専門家に内容の作成だけを依頼した場合は、手直しの必要は当然ありませんので、印刷してもらった定款をそのまま使用します。

定款の改ざん防止

定款は、「会社の憲法」とも言われるように、会社を運営していくための基本的な決まり事ですから、いつの間にか変わっていたということが起きては困ります。
そのため、改ざんを防ぐための仕組みが必要です。

通常は、契約書などのように、契印といって、見開きの各ページにまたがった感じで印鑑を押しておくのですが、定款のように複数ページになる書類だと、何か所も印鑑を押すのも面倒です。

それを避けるための方法が「袋綴じ」です。
袋綴じで製本することで、押印は1か所あるいは2か所で済み、改ざんを防いだり、改ざんされたとしても発見しやすくなります。

定款の袋綴じの方法

印刷された定款を袋綴じにします。

袋綴じにするには、市販の袋綴じ用の製本テープを使うこともできますが、今回は製本テープを使わずに袋綴じをしてみましょう。

用意するものは

  • 印刷した定款(A4で印刷して、ホチキスで閉じる前のもの)
  • A4より少し縦長の用紙
  • ホチキス
  • のり
  • はさみ

です。

短冊を作る

まず、A4より少し縦長の用紙を短冊状に切ります。
縦の長さはA4より2~3㎝くらい長く。
横は、袋綴じの袋の部分×4くらい(6~8cmくらい)。

まぁ、×4の部分も×3でもいいのですが、私の好みの作り方をご紹介しますので、×4で用意します。

用意したら、縦に細長く、4つ折りにしてください。
これは折る目安のために、折り目をつけておくだけです。この折り目の幅で袋綴じ部分の幅が決まりますので、好みの幅になるように変えてもらって構わないです。

短冊を貼る

4つ折りした短冊を定款の表紙に貼ります。
貼るときには、短冊部分は表紙よりも長いはずですので、上下に少しはみ出るように貼ります。
また、定款は、表紙が無くても問題ないのですが、私は作るようにしています。

貼るときは、4つに折ってある短冊の端の列だけに糊付けします。(残りの3列の部分には糊をつけません)

ひっくり返して裏から見ると、こんな感じです。上側に少しはみ出ているのが分かるかと思います。
下側も同様に同じくらいはみ出ています。

上にはみ出した部分を2列目を残してカットします。
表紙に糊付けした部分である1列目としています。
下側も同様に2列目を残してカットしてください。

ホチキスで、他のページと表紙を綴じます。ホチキスの位置はどこでもいいですが、4つ折りにした短冊の端の1列部分で綴じるようにしてください。

裏側はこんな感じ

上下にはみ出た部分を折り返して糊付けします。

残りの折り返し3列目と4列目を処理します。
定款冊子を裏返した状態で、3列目・4列目を谷折りにします。

谷折りにして、4列目と定款の裏表紙を糊付けします。

出来上がり。

契印を押す

袋綴じが出来たら、契印を押します。

袋綴じの部分(分厚くなっている部分)と定款の表紙の部分にまたがった感じで印鑑を押します。
印鑑を押すのは、発起人全員で、実印(印鑑登録されている印)を使用します。

契印は、京橋公証役場の注意書きによると、裏面だけでもいいのですが表裏両方契印することが多いように感じます。
それでも、各ページに契印するよりも楽ですけどね。

これで定款の出来上がりです。
作業自体は大したことないので、ゆっくりやればきれいな定款ができると思います。

これ以外に製本テープを使う方法もあるのですが、それは買えば使い方が書いてあると思いますし、買ったこともないので、割愛します。

また、袋綴じの短冊の部分の上下にはみ出たものを定款本体に折り返して糊付けしましたが、これって短冊部分がA4よりも大きい紙だからできるのであって、A4の用紙しかない場合には作れません。

ですが、A4の大きさで短冊を作って、折り返し無しにして袋綴じをすることもできます。
この場合でも公証役場では、ちゃんと認証してくれますので、無理にA4より大きい紙を用意しなくても大丈夫です。

もし、作る際にはお好きな方法・形で作るといいでしょう。
袋綴じの方法は覚えておくと契約書の作成などでも使えますので、便利ですよ。

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