定款に記載される「目的」って?
定款を作成する場合、絶対的記載事項と言われる項目は、必ず用意しなければなりません。
その中に「目的」「事業目的」という項目があります。
これって、何を書けばいいのでしょうか。
どういうことを書くのか
「目的」には、その会社が何を事業としていくのかということを記載します。
つまり、会社が何をしてお金を稼いでいくのかということです。
企業がどのような活動を行って収益を得るのかということを明確にしておくことで、他の人に何の会社かが分かるようにします。
例えば、ラーメン屋をやりたいのなら、「ラーメン店の経営」とか「ラーメンの製造、加工、販売」や「フランチャイズチェーンシステムによるラーメン店の経営、加盟店の募集及び経営指導」などといったことを目的に記載することになります。
まぁ、表現によって、単にラーメン屋をやりたい(ラーメン店の経営)のか、通販や卸的なこともしたい(ラーメンの製造、加工、販売)のか、チェーン店を作って手広くやりたい(フランチャイズチェーンシステムによるラーメン店の経営、加盟店の募集及び経営指導)のか変わってくることになります。
もし、定款に「目的」が無い場合は、無効な定款とされますので、必ず記載しなければなりません。
まぁ、忘れる人はいないと思いますけど。
また、当然のことながら、法に触れるような目的は定めることはできません。
例えば、いくら世界では合法大麻ビジネスが流行っているからといって、そうしたビジネスを行うために「大麻の輸入・販売」とかを定款に記載することはできません。
どの程度詳しく書くのか
目的は、どのように書いてもいいのですが、ある程度具体性をもって書く必要があります。
以前は、曖昧な表現だと、認証されなかったり登記されなかったりしたのですが、会社法の改正により具体性の制限というのは無くなりました。
そのため、かなり自由に定めることができます。
ある程度曖昧な表現でも認証されるとは思いますが、あまりにも曖昧だと問題が生じる可能性があります。
例えば、銀行融資を受ける際には、銀行側は、その会社が何をする会社なのか調べます。
その時、定款の目的を確認して、何をする会社なのかを見るわけですが、内容が抽象的すぎる場合、結局何をしている会社かを判断できない可能性があります。
その結果、「怪しい会社」と判断されて、審査に落ちる可能性があります。
また、新規の取引を行う場合にも、相手の会社からチェックされる可能性があります。
相手が小さな会社の場合は、そこまでしないことも多いでしょうが、ちょっと大きめの会社だと登記簿謄本を閲覧して、取引しても大丈夫な会社かどうかチェックします。
その時に、事業目的が曖昧だと取引してもらえないかもしれません。
ですから、ある程度、何をする会社なのかを他の人が見て分かるようにしておかなければなりません。
いくつ書けばいいのか
定款の「目的」に個数の制限はありません。
なので、10個でも100個でも構わないのですが、あまりにも多いと何をしている会社なのか分からなくなります。
他の企業や銀行などからは「何をしているか分からない」=「怪しい」と判断されてしまいますので、多過ぎるものも考えものです。
ですが、将来的に手掛ける可能性のある事業については、記載しておいた方がいいでしょう。
後から定款を変更することもできますが、「目的」は登記事項ですので変更すると変更登記が必要になりコストがかかります。
また、定款変更のためには変更のための手続き(株主総会など)が必要になりますので、そういった手間もかかります。
そうしたことも考慮に入れてよほどの大会社ではない限り、5~10個くらいにしておいた方がいいかもしれません。
目的に必ず入れるもの
メインの事業については、当然「目的」に入れなければなりませんが、それ以外に許認可が必要な事業を行う場合には、決められた事業目的を入れておく必要があります。
許認可によっては、特定の事業目的が定款に入っていないと許認可が下りない場合があります。
そういった許認可されないリスクを避けるためにも、定款の作成はプロに依頼したほうがいいでしょう。
例えば、運送屋をやろうと思ったときに、単に事業目的に「運送業」と書いただけだと運送業の許認可は取れません。
運送会社を作る場合には定款の事業目的に「一般貨物自動車運送事業」や「貨物軽自動車運送事業」などと記載しておく必要があります。
また、それ以外にも許認可が必要な事業を行う予定がある場合、それらの事業についても正しい事業目的を記載しておかなければなりません。
大事なのは〆の一文
「目的」の最後には
前各号に付帯関連する一切の事業
と入れておきます。
こうすると関連する事業を行う際に、定款変更をしなくて済みます。
基本的に、会社は定款に記載した事業を行うことになっていますが、では、定款に無い事業を行ったらどうなるのかというと、特に罰則はありません。
定款に記載されていなくても、「目的」を達成するために必要な行為であれば、問題ないと解釈されていますが、上記のように、まったく関係ない行為でも罰則は無いので、やろうと思えばやれます。
ですが、定款に無いことをした場合には、やはり第三者から見て「あやしい会社」と思われる可能性が高いですから、取引されなかったり信用されないなどの不利益が発生しますので、将来的に可能性のある事業は記載しておいたり、適宜定款変更するなど適切に対応するのが良いと思われます。
まとめ
定款に必ず記載しなければならない「目的」は、やる事業を書けばいいという簡単なことに思えるかもしれませんが、実際に書いてみると結構悩ましいものです。
安心して会社を設立するためには、定款の作成は行政書士などのプロに任せることをお勧めします。
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